フランチャイズ契約を結ぶとき、ほとんどの場合は契約書に「競業避止義務」に関する項目が盛り込まれています。
なぜフランチャイズ契約では競業避止義務が求められるのでしょうか?
そもそも競業避止義務とはどういうものなのか、よく知っておかないと思わぬトラブルにつながることもあるため、ここでしっかりと確認しておきましょう。
競業とは、同じような業務のことを指します。 つまり競業避止義務を簡単に説明すると、
といった行為をしてはならないということです。
会社で仕事をしていると、さまざまな情報に触れることになります。顧客名簿のようなデータだけでなく、営業テクニックや経理処理の方法なども情報の一種です。
会社としては、そういった情報は「企業秘密」としてなるべく独占しておきたいものです。もし社員が競合他社に転職したら、せっかく培ってきたノウハウがみすみす他社に流れてしまうことになります。
こういった事態を避けるために、「雇用契約書」や「就業規則」に競業避止義務を盛り込むというわけです。
では次に、フランチャイズ契約において「競業避止義務」がどのように機能するのかを見てみましょう。
当然、繁盛している店は運営するためのノウハウを持っています。フランチャイズ・チェーンであってもそれは同じです。 通常は「企業秘密」として公開されることがないノウハウですが、フランチャイズ契約を結んでいる場合は、そのノウハウのすべてが傘下に入ったフランチャイジーに公開されます。
しかも、ただ公開するだけでなく、フランチャイズ店がうまく運営できるよう、さまざまな形で指導してくれます。 ほかにも店舗の用意や仕入れ先の紹介など、親企業が提供するものは多岐にわたります。
しかし、フランチャイズ契約の最も大きなメリットは「運営ノウハウの提供」だと言って良いでしょう。
このような親企業のサポートを受けて、フランチャイズ店の運営が軌道に乗ったとします。数年のうちにフランチャイジー側もノウハウを覚えて、サポートがなくても店が回せるようになるでしょう。ここでフランチャイジーがフランチャイズ契約を解消し、覚えたノウハウを使って独自で同じような店を始めたらどうでしょうか。 当然、親企業はノウハウを盗まれたと感じます。
これでは、懇切丁寧にサポートしてライバル店を育てたようなものですよね。
そう考えると、フランチャイズ契約に競業避止義務条項が盛り込まれているのも頷けます。
日本国憲法では、職業選択の自由が保障されています。とすると、会社を退職した後やフランチャイズ契約を解消した後まで、行動を縛られるのはおかしいとも言えます。しかしフランチャイズ契約は、親会社とフランチャイジーの両方が納得した上で結ばれるものです。その契約書に、契約解消後の競業避止義務が盛り込まれていたら、もちろん守らなければなりません。
実際に、契約終了後に競合店を開業して、親企業から訴えられたフランチャイジーも少なくないのです。
ただし、裁判所の過去の判例では「必要な範囲を超えた競業避止義務を求めることは、違法の可能性がある」と判断されています。「必要な範囲」とはどのくらいかというと、通常は契約終了後1~3年、長くても5年程度です。つまり、契約終了から5年以上経ったら、覚えたノウハウを使って競合店を立ち上げても良いということになります。
もし、競業避止義務を無視して競合店を立ち上げると、フランチャイズ・チェーン側から損害賠償などを請求される可能性もあります。こういったリスクを避けるためにも、フランチャイズ契約を結ぶときは競業避止義務についてきちんとチェックしておくことが大切です。
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