フランチャイズ契約とは本来、親会社とフランチャイズオーナーの信頼関係の上に結ばれるもの。
ところが、親会社とオーナーが行き違いを起こして、訴訟にまで発展してしまうこともあります。
実際にどんな裁判が起こされたのか、どのような判決が下されたのかを見て、対策について考えてみましょう。
クリーニング・チェーンのフランチャイズの解約を申し出たオーナーに対して、親会社が解約一時金500万円の支払いを求めて訴訟を起こした事例があります。解約時に賠償金を求められる例は、それほど珍しくありません。親会社は、加盟時の入会金やロイヤリティを低く抑えていることなどを理由に、賠償金として解約一時金を請求したいと主張しました。
裁判は高等裁判所での二審まで争われましたが、判決は「オーナーには解約一時金の支払い義務はない」というものでした。
ポイントは、フランチャイズ契約書には解約一時金について明記されていなかったことでした。しかし、もし賠償金について契約書に明記されていれば、オーナーに支払い命令が出ていた可能性があります。
解約時に賠償金などが必要になるのか、オーナーはまず契約を結ぶ前にチェックしておく必要があります。
宅配弁当チェーンのフランチャイズをしていたオーナーが、契約終了後に食材の宅配業を始めました。これに対して親会社は、競業避止義務違反だとしてオーナーを訴え裁判に発展した事例があります。
オーナー側は、食材の管理や味付けには独自の工夫を凝らして、フランチャイズとの差別化を図っていると反論。しかし、オーナーはフランチャイズ業務を通して顧客を得たと判断され、3年分のロイヤリティにあたる金額を賠償金として支払うこととなりました。
フランチャイズ契約では一般的に、契約終了後も一定の期間は同種の仕事をしてはならないとされています。上記は、フランチャイズ本部から得たノウハウは直接業務に関係することだけではなく、顧客開発といった営業テクニックも該当するという判例です。
フランチャイズ契約をする場合、業務で得たすべての知識や経験は契約解除後、すべて使えないと覚悟しておくべきでしょう。
コンビニエンスストア・チェーンで起こったトラブルで、「ロスチャージ訴訟」と呼ばれる事例があります。ロスチャージとは、消費期限切れで廃棄された商品のことです。
フランチャイズ店舗では、店の利益の数%を親会社にロイヤリティとして支払います。その計算方法を巡って、親会社とオーナー側が争いになりました。
例えば、200円の商品を100円で3個仕入れたとします。3個全部売れた場合の売り上げは600円で、原価を差し引いた利益が300円となり、それに対してロイヤリティがかかります。
しかし2個しか売れなかったら、原価300円に対して売り上げは400円なので、利益は100円にしかなりません。
ところが親会社はロスチャージ分を含めず、仕入れ値が200円で400円の売り上げがあり、200円の利益が出たとしてロイヤリティを計算していました。オーナー側はこれを詐欺まがいであるとして訴えたのです。裁判は最高裁まで争われましたが、判決は親会社側の逆転勝訴となりました。
フランチャイズ契約は比較的歴史の浅いシステムであり、全体を包括するような法整備がされていません。
そのため、事例ごとの細かい条件の違いや、世の中の移り変わりによって法解釈も変化してきます。契約前に親会社とよく話し合い、細かい条件まできっちり決め込んでおけば、こういった訴訟を避けるために役立つでしょう。
しかし、万が一トラブルがあった際はすぐに弁護士に相談して解決方法を探ってください。
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